生成AIの回答文で「どの情報源が引用されるか」をめぐり、SEOとは別の観測軸が語られるようになってきました。株式会社Tech Knowledge Baseは、ChatGPT・Gemini・Perplexityなどを横断して自社の引用・推薦状況を分析するというAEO/AIOモニタリングツール「Sighted」β版の提供開始を発表しています。
株式会社Tech Knowledge Base(本社:京都府、代表取締役:永淵 翔大)は、AEOモニタリングツール/AIOモニタリングツール「Sighted(サイテッド)」のβ版提供開始を発表しました。同社の説明では、ChatGPT・Gemini・Perplexityなど主要な生成AIにおける自社ブランドの引用・推薦状況を横断的に分析し、質問領域全体を俯瞰する「競合比較マップ」などで差分や改善点を示すとしています。検索順位と生成AIでの露出が一致しない、という現場感を背景にした発表です。
生成AIの普及で、情報探索の入口が「検索結果の一覧」から「回答文」へ移る場面が増えています。こうした変化を受け、企業側では“検索で上位に出ること”とは別に、“生成AIの回答にどのように組み込まれるか”を測ろうとする動きが目立ちます。
その文脈で、Tech Knowledge Baseはプレスリリースの中で、検索と生成AIの「選ばれ方」の違いを説明しています。同社によれば、Google検索は「どのページが最も関連性が高いか」をランキングする一方、ChatGPT・Gemini・Perplexityなどの生成AIは「どの情報源が最も信頼でき、回答に組み込むべきか」を判断する、という整理です。ここは同社の見解であり、実際の生成AIの挙動はプロダクトや質問内容、参照元の扱いなどで変わり得る点には注意が必要です。
背景として同社は、AEOコンサルティングの現場で「(SEO順位とAIでの露出のズレに関する)相談が急増している」と報告しています。また、プレスリリース内では外部情報として、米国の調査会社Gartnerが「2026年までに従来型検索エンジンのボリュームは25%減少する」と予測している旨も紹介されています。いずれも発表内での提示であり、数値や前提条件の詳細は本文だけでは確認できません。

用語面でも新しい言い回しが増えています。Tech Knowledge BaseはAEO(Answer Engine Optimization)を「ChatGPTやGeminiなどのAIが自社を引用・推薦する状態を目指す最適化戦略」と定義し、Sightedの技術基盤はAEO/GEO(Generative Engine Optimization)/LLMO(Large Language Model Optimization)に属すると説明しています。編集部の立場から補足すると、これらは「検索順位」よりも「回答文の中で参照されること」へ関心が寄る状況を表すラベルとして捉えると理解しやすい一方、業界内で定義が完全に統一されている言葉ではありません。
ツール環境について同社は、AEO/AIO対策のモニタリングツールは国内外で複数登場しており、キーワード単位で「言及されたか」「何回引用されたか」といった計測は可能になっている、と述べています。その上で同社は、既存ツールがキーワード単位の“点”の計測にとどまり、質問領域全体という“面”での引用評価が十分ではない、という課題認識を示しています。これは競合比較を「個別キーワードの勝敗」ではなく「ユーザーが投げる質問の広がりの中での勝敗」として把握したい、という問題設定だと言えます(ここは同社の主張の整理です)。
今回発表された「Sighted」β版は、日本発のAEOモニタリングツールとされ、ChatGPT・Gemini・Perplexityなど複数のAIでの自社ブランドの引用・推薦状況を横断的に分析するとしています。発表時点で示されている主な機能は次の3点です。

・競合比較マップ:ユーザーがAIに投げる質問領域について、自社と競合が各AIプラットフォームで引用・推薦されているかをマップ形式で一覧表示し、質問領域全体の勝ち負けを一画面で把握できる、としています。
・ギャップ分析:負けている領域について、コンテンツの構造、情報の網羅性、外部引用状況などを複合的に分析するとしています。
・改善ロードマップ:どのコンテンツをどの観点で改善すればAIからの引用確率が上がるかを、優先度付きのアクションリストで提示するとしています。
一方で、読者が誤解しやすい点もあります。プレスリリースおよび同社サイトの記載からは、β版で利用できる機能範囲(全機能か一部か)、対応するAIプラットフォームの網羅性(例示なのか全対応なのか)、対応言語・対応地域、提供形態(SaaS/APIなど)、料金、データ収集方法や評価指標(例:AEOスコア、Response Share)の算出定義、プライバシーやデータ保持・第三者提供の方針などが十分に読み取れません。比較検討の際は、これらの前提条件が各社ツールで異なり得るため、表示される数値の意味や範囲をそろえて確認する必要があります。
なお同社は市場環境について「海外では既に1,000億円超の市場規模に達しており、年間50%を超えるペースで成長している」とも記載しています。ただし、この数字が指す市場の定義(対象国・対象サービス範囲・推計方法など)は本文だけでは追いにくく、編集部としては“発表内の主張”として切り分けて受け止めるのが適切です。
Sightedの詳細ページは同社サイトに掲載されています(https://sighted.tkbase.co.jp/)。
今回の発表は、「SEOで上位表示されること」と「生成AIの回答で引用・推薦されること」を同じ指標で扱いにくい、という現場の違和感を前提に、観測手段を提示したものです。Tech Knowledge Baseは、その違いを“点”ではなく“面”で捉えることを打ち出しました。生成AIでの露出を測る取り組みは広がりつつありますが、指標の定義や対象範囲、データの扱いはツールごとに差が出やすい領域でもあります。導入の可否以前に、まずは「何を、どの範囲で、どう測っているのか」を確認できるかが、比較の出発点になりそうです。
出典
- 原題:SEOで1位を取っても、ChatGPTはあなたの会社を推薦しない──その理由と打ち手が一目でわかる「Sighted」β版を提供開始 | 株式会社Tech Knowledge Baseのプレスリリース
- URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000163833.html