富士通株式会社は、既存のソースコード(発表ではCOBOLなどを例示)を解析し、既存システム把握のための設計書を自動生成する「Fujitsu Application Transform powered by Fujitsu Kozuchi」を、2026年3月30日から日本国内でSaaSとして提供開始すると発表しました。前身サービスの実績を踏まえた標準化や、顧客自身で解析を進められる提供形態を掲げています。
システムのモダナイゼーションやマイグレーションでは、移行方式の議論より前に「現行がどう動いているか」を説明できる状態に戻す作業がボトルネックになりがちです。富士通株式会社は2026年3月30日、日本国内でSaaSとして、ソースコード解析から設計書を自動生成する生成AIサービス「Fujitsu Application Transform powered by Fujitsu Kozuchi」の提供開始を発表しました。発表では、設計書未更新によるブラックボックス化や有識者不足を課題として挙げています。
■今回の発表:コードから「現状把握用の設計書」を起こす
富士通株式会社は、生成AIを活用して既存のレガシーシステムに含まれるソースコード(COBOLなど)を解析し、既存システムの内容を把握するための設計書を自動生成するサービス「Fujitsu Application Transform powered by Fujitsu Kozuchi」を、2026年3月30日から日本国内でSaaSとして提供開始すると発表しました。また、利用企業(顧客)自身でも解析作業を行える形で提供するとしています。
■背景として示された課題:設計書の未更新、有識者不足、COBOLの多様性
発表文で富士通は、長年の運用で設計書が更新されず、システムの全体像や詳細仕様がブラックボックス化していること、紐解き・解析に大幅なコストと時間がかかること、レガシーシステムの有識者が不足していることを課題として挙げています。加えて、特にメインフレーム由来の多様なCOBOL記述が存在し、解析が難しいという説明も記載されています。

■仕組みとして明記された要素:ノウハウとコード解析、RAGの管理
富士通は、長年のシステム開発ノウハウや独自技術、生成AI、コード解析技法を組み合わせると説明しています。さらに、残存する設計情報や既存プログラムを活用し、「Fujitsu ナレッジグラフ拡張RAG for Software Engineering」を使ってRAGを管理する、としています。
(補足)RAG(Retrieval-Augmented Generation)は一般に、生成AIが文章を作る際に外部情報を検索・参照して文脈を補う考え方です。今回の発表は「RAGを管理する」仕組みの名称を明示している一方、参照する情報の範囲(どの文書やどのメタデータまで対象にするか)や、参照結果の提示方法(根拠の追跡の可否)などの運用詳細は、発表文だけでは確認できません。
■効果として提示された数値と、読み手が注意したい点
富士通は効果として、(1) 有識者がいなくてもプログラム理解から設計書生成までの作業時間を約1/30に短縮、(2) COBOL言語での網羅性が95%向上、(3) 設計書の可読性が従来比60%向上、と発表文に記載しています。
一方で、これらの数値について、算出方法や評価基準、対象としたコード規模・品質、比較対象(従来手法の定義)などは、今回の発表文の情報だけでは読み取れません。導入検討では、数値の大小に加えて「どの条件で再現しうる指標か」を確認する必要があります。

■位置づけ:前身サービスからSaaSへ、機能拡張は2026年度以降に予定
富士通は前身として「設計書リバースサービス for アプリケーション資産」を2025年2月より提供しており、その実績を踏まえて解析技術と設計書生成のノウハウを標準化したとしています。また、設計書自動生成に加えて、既存資産のリビルド機能、ソースコードの自動リライト機能、運用・保守支援機能を2026年度以降に順次提供予定とも発表しました。加えて、本サービスの導入支援などの提供も開始する予定としています。
■未記載の条件:料金、対応範囲、データ取り扱いなど
今回の発表文では、価格・料金体系、SaaSの契約形態(プラン、ユーザー数、期間など)、対応言語の一覧、入力できるソースコードの規模や形式、リポジトリ要件、データの取り扱い(保存場所、学習利用の有無、送信先など)、SLAやサポート体制の詳細は確認できません。実務では、ソースコードや設計情報が扱う機密性の高さから、技術機能と同じくらい「データの扱い」と「レビュー・確定の手順」が重要になりやすいため、適用範囲と例外条件を事前に詰める必要があります。

■外部コメントの掲載
発表には、SMBC日興証券株式会社 常務執行役員 堀内俊宏氏のコメントが掲載されています。ただし、導入事例としての適用範囲、前提条件、どの工程がどの程度置き換わったかといった具体は、発表文の範囲では限定的です。
富士通は本サービスについて、高品質な設計書生成により現状仕様や特性を把握し、モダナイゼーション/マイグレーションの方針策定と実施を支援すると表明しています。いっぽう、SaaSとしての運用では、対応言語や入力条件、根拠追跡、データの取り扱い、評価指標の前提といった確認事項も多く残ります。発表された機能と未記載の条件を切り分け、どの業務範囲を対象にするかを整理したうえで検討するのが現実的です。
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出典
- 原題:ソースコードを解析し、設計書を自動生成する生成AIサービス「Fujitsu Application Transform powered by Fujitsu Kozuchi」を提供開始 | 富士通株式会社のプレスリリース
- URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000552.000093942.html
