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SAP刷新の設計段階で論点になりやすい2点──「品目コードの統一」と「国内外のバージョン混在」

株式会社AItegrityはPR TIMESで、グローバル企業のSAP刷新に向けた構想策定を支援すると発表しました。発表の中心は、(1) 国内外で乱立する品目コード番号体系の見直しと、(2) 国内S/4HANA・海外SAP ERP 4.7 Enterpriseが混在する環境の差異分析に基づく段階移行のロードマップづくりです。

SAPのグローバル統合というと、どの製品バージョンへ移行するか、いつ切り替えるかが話題になりがちです。一方で、移行の前段にある「データの呼び名や番号をどうそろえるか」「拠点ごとに違うシステム差分をどう整理するか」は、地味でも影響が大きい論点です。株式会社AItegrity(本社:埼玉県志木市)は、こうした設計・構想段階の支援を行うとPR TIMESで発表しています。

今回の発表は、大きく2つの話題で構成されています。どちらも、システム実装の前に決めておかないと後工程で手戻りが増えやすい領域です。

1つ目は「品目コードの統合」です。AItegrityは、国内・海外拠点で異なる品目コード番号体系が乱立しており、SAPをグローバルで統合運用する上で障壁になっていると説明しています。そのうえで、番号体系を設計思想から見直し、グローバル統一マスタデータ基盤の構想を策定する支援を行うと発表しました。

ここで注意したいのは、発表が扱っている範囲が「品目コードをどう統一するか」という実務論点に踏み込んでいる一方、対象範囲の細部は読み取れない点です。たとえば、どの種類のマスタ(品目以外に得意先・仕入先・勘定科目等を含むのか)を対象にするか、例外運用をどこまで認めるか、運用ルール(登録・変更・承認)まで含むのかは、発表文からは確定できません。読者としては、「統一マスタデータ基盤の構想」という言葉が、データ設計だけを指すのか、運用ガバナンス設計まで含むのかを切り分けて確認する必要があります。

2つ目は「バージョン混在環境の標準化」です。AItegrityは、国内拠点でS/4HANA、海外拠点でSAP ERP 4.7 Enterpriseが稼働している異バージョン混在環境を前提に、機能差異・データ構造差異を精緻に分析し、段階的なグローバル統合ロードマップを策定、業務断絶のない移行計画を定義していくとしています。

この話題は、「同じSAPでも拠点ごとに前提が違う」状況をどうほどくかに焦点があります。ただし、発表には、どの拠点・国を対象にするのか、段階移行のフェーズ分けやマイルストーン、並行稼働の期間設計、周辺システム連携の扱いなど、計画の具体条件は示されていません。したがって、読者が自社の検討に引き直す場合は、ロードマップ策定の成果物(たとえば差分一覧、移行シナリオ、移行手順、リスク整理など)がどこまで含まれる想定か、別途の情報が必要です。

なお、AItegrityは自社について「現場で使えるAI構築」をメイン事業の一つとしているとも説明し、将来的にSAPとAIを連携させたソリューション導入にも発展させていくことを検討していると発表しています。ここで述べられているのは方針であり、具体的な提供時期や対象機能、適用条件などは記載されていません。

発表全体を「事実」として整理すると、AItegrityが支援対象の企業名を明かさない形で、(1) 品目コード体系の見直しと統一マスタデータ基盤の構想策定、(2) 国内外のSAP異バージョン混在を前提にした差異分析と段階移行ロードマップ策定、という2点の支援内容を提示した、という構図です。一方で、期間・費用・対象範囲(拠点数、国、業務領域)・成果物・KPI・実施体制・運用保守範囲・進捗状況といった判断材料は発表内に見当たらず、取り組みの輪郭は限定的です。

プレスリリースは企業発表であり、「支援」の定義や含まれる作業範囲は案件ごとに異なり得ます。読者としては、発表で示された2つの論点(品目コード/バージョン差)を、自社の刷新計画でどこまで先に決めておくべきか、また外部支援に求める成果物を何にするかを分けて考えるのが安全です。

今回の発表が示したのは、SAP刷新の前段で浮上しやすい「データの統一(品目コード)」と「拠点間の前提差の整理(バージョン混在)」という2つの論点です。実行フェーズの話題よりも一歩手前の構想・設計に焦点が当たっている分、対象範囲や成果物がどこまでなのかは追加情報が必要になります。刷新の検討では、移行の時期や製品選定と並行して、データと差分の整理をどの段階で固めるかが判断ポイントになりそうです。

出典

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