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IOWN APN(100GbE)で東京—福岡を接続した分散AI実証:Phase1の疑似遅延評価とPhase2の実回線評価で見えた違い

NTT東日本の発表によると、東京(東京都渋谷区)と福岡(福岡市)を実回線のIOWN APN(100GbE)で結び、GPUとストレージを離して配置した構成でAIワークロードの学習時間を測定しました。Llama2 70Bではローカルと遠隔で差が小さい一方、ResNetでは遠隔側の学習時間が増えたとしています。あわせて、過去のPhase1(疑似遅延)と今回のPhase2(実回線)で評価の前提が異なる点や、公開情報だけでは条件を特定しきれない点も確認しておきたいところです。

「GPUとストレージを別の場所に置いたまま、遠隔でAI学習を回したとき、どれくらい性能差が出るのか」。NTT東日本のプレスリリースは、東京—福岡間を結ぶIOWN APN(100GbE)の実回線を使い、分散配置したAI開発基盤で学習時間を測定した結果を示しました。今回は、ワークロード(処理の種類)によって“遠隔化の影響の出方が違う”という点と、Phase1/Phase2で評価方法が違うという点を分けて整理すると、読み違いを減らせます。

発表された事実(Phase2:実回線での評価)】
NTT東日本の発表では、本実証(Phase2)は2025年11月から2026年2月に実施されました。実環回線のIOWN APN(100GbE)で、GMOインターネットグループ第2本社(東京都渋谷区)とQTnetのデータセンター(福岡市)を接続したとしています。

拠点の役割分担として、福岡側にGPU(NVIDIA HGX H100)、渋谷側に高速ストレージ(DDN AI400X2)を配置したと説明されています。評価には「GMO GPUクラウド」のGPUと大容量ストレージを接続したAI開発基盤を用い、性能を測定・評価したとしています。

計測したワークロードは、画像分類タスク(ResNet)と大規模言語モデル処理タスク(Llama2 70B)です。発表では学習時間を比較指標として提示しており、Llama2 70Bはローカル環境が24.87分、IOWN APN経由の遠隔環境が24.99分で、ローカル比で約0.5%の差と記載されています。一方でResNetは、ローカル環境が13.72分、IOWN APN経由の遠隔環境が14.38分と、遠隔側で学習時間が増えた数値が示されています。

また同リリースでは、この検証結果がMLCommons Associationによる公式な検証・承認を受けたものではないと明記しています。さらに、4社が本実証を行い、今後も成果をもとに遠隔分散型AIインフラの実用化に向けた取り組みを進めると記載しています(ただし本文中では「4社」の個別社名はすべて示されていない、と読み取れます)。

発表された事実(Phase1:疑似遅延での事前評価)】
同リリースでは、Phase1の事前実証が2025年7月に実施されたことも説明されています。福岡のデータセンター内に遅延調整装置「OTN Anywhere」を設置し、「GMO GPUクラウド」を使って疑似遠隔環境で性能テストを行ったとしています。条件として、東京—福岡間(約1,000km)を想定し、15ミリ秒の疑似遅延を与えたと記載されています。

Phase1の結果として、疑似遅延条件(15ms)でResNetのベンチマークスコアが約12%低下したとの報告が併記されています。

記事側の整理(解釈ではなく、読み分けのポイント)】
今回の数値は「同じ遠隔分散」でも、Phase1(疑似遅延)とPhase2(実回線)で前提が異なります。Phase1は“遅延を与えた環境での影響確認”、Phase2は“東京—福岡を実回線で接続した構成での計測”という違いがあり、単純な横比較はしにくい点に注意が必要です。

またPhase2でも、示されているのは学習時間という結果であり、公開情報だけでは比較条件を十分に特定できません。たとえば、繰り返し回数や統計(平均・ばらつき)、データセットやバッチサイズ、ソフトウェア環境、実回線のエンドツーエンド遅延やスループットの観測値・計測方法などは、少なくとも当該リリース本文の範囲では明確になっていない項目として残ります。数分単位の差を判断材料にする際は、これらの条件差が結果に影響しうることを前提に読み進める必要があります。

遠隔分散型AIインフラは、回線の種類だけでなく、GPUやストレージの配置、ワークロードの特性といった複数の前提が重なって成り立ちます。NTT東日本の発表は、Phase1(疑似遅延)とPhase2(実回線)という段階の違いを含め、同じ“遠隔”でも結果が一様にならない可能性を数字で示したものです。読み手としては、提示された学習時間の差に加えて、評価条件の範囲と未開示の前提(再現性や通信特性など)をセットで確認しておくと判断しやすくなります。

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