PR TIMES掲載のELSOUL LABO B.V.の発表で、ERPCのハイパフォーマンスVPSが欧州・米国の3リージョンに再入荷したと明らかになりました。あわせて提示された「一般的なVPSがSolanaで遅くなり得る理由」と、ERPC側が挙げる設計・運用上の対策を、発表内容(事実)と編集部補足(読みどころ・注意点)に分けてまとめます。
ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役CEO:川崎文武)およびValidators DAOが運営するERPCは、同社の「ハイパフォーマンスVPS」各ラインナップについて、フランクフルト、アムステルダム、ニューヨークの主要3リージョンで再入荷したと発表しました。発表文は入荷告知にとどまらず、Solana用途でのレイテンシ(遅延)をどう捉え、どこを最適化対象にしているかを具体項目として示しています。なお、今回参照した発表では、発表日の明記が確認できませんでした(PR TIMES掲載ページ上の表示に依存するため、閲覧時点での表記をご確認ください)。
■1. 発表の要点(事実)——「3リージョンに再入荷」
PR TIMESに掲載されたELSOUL LABO B.V.の発表によると、ERPCはハイパフォーマンスVPSの各ラインナップが、フランクフルト/アムステルダム/ニューヨークの主要3リージョンに再入荷したとしています。発表では、在庫が減少傾向にあった主要リージョンへの再入荷により「すぐに利用を開始できる」とも述べています。
また同社は、このハイパフォーマンスVPSがERPCプラットフォームで利用数の多い製品カテゴリであり、Solana開発者のスタートアップ環境として人気がある、と位置づけています。案内ページとして https://erpc.global/ja/vps/ を掲載しています。
■2. 「フランクフルトに置けば速い」だけではない、という論点(編集部補足)
リージョン名(例:フランクフルト)だけで通信の体感が決まるように見える一方、実際の遅延は、(1)サーバー側の設定・割り当て、(2)ネットワーク経路、(3)冗長化や保全設計の置き方、といった複数要因の影響を受けます。今回の発表は、入荷情報と同時に、この「どこが遅延の要因になり得るか」を項目立てで説明しています。
■3. 一般的なVPSがSolanaで遅くなり得る理由(発表内容:3点)
発表文では、一般のVPSやクラウドがSolanaで遅い理由として、構造的な要因を3つ挙げています。

(1)パフォーマンス制限
ERPCは、CPUのC-stateによる動的な省電力制御、CPUガバナーのデフォルト設定、ネットワークスタックの保守的なパラメータなどが積み重なり、応答に影響し得ると説明しています。
(2)ネットワーク距離
ERPCは、重要なのはリージョン名ではなくSolanaバリデータネットワークとの物理的距離だとし、パブリックインターネットの多段ホップが入るとレイテンシが悪化し得る、としています。加えて、クラウドベンダーの仮想化レイヤーやネットワーク抽象化が距離(遅延)の面で不利に働く可能性がある、という整理です。
(3)プロダクト設計(汎用前提の冗長化)
汎用VPSが備えるディスク冗長化、ミラーリング、レプリケーションなどはデータ保全に有効としつつ、冗長化のためにリソースを割くほどアプリケーション処理に使えるリソースが減り、レイテンシ増加の要因になり得る、と説明しています。

■4. ERPCが挙げる対策(事実)——「OS/CPU設定」「配置」「課金」
発表文では、ERPCのハイパフォーマンスVPSは「Solanaで速度を出すことだけを目的に設計」されているとしています。具体策として、次を挙げています。
・パフォーマンス制限の排除:CPU C-stateの無効化、CPUガバナーのperformance固定、カーネルパラメータの最適化、ネットワークスタックのチューニング、メモリ設定の最適化。
・配置とネットワーク:Solanaバリデータが密集するプレミアムデータセンター内にVPSを配置し、同一プラットフォーム内の内部ネットワーク経路でバリデータとプライベートネットワークを共有、パブリックインターネットを経由せずに通信するとしています。
・課金の扱い:この内部ネットワーク通信に追加課金は発生しない、としています。ERPCプラットフォーム内のSolana RPC、Solana Geyser gRPC、Solana Shredstream、SWQoSエンドポイントとの通信を、ネットワーク追加課金なしで利用できると述べています。
(編集部補足)「追加課金なし」が指す範囲は誤解が出やすい点です。発表内の表現は“内部ネットワーク”に関する説明であり、月額・従量の基本料金、外部向け通信、帯域や上限などの全体条件までは読み取れません。利用を検討する場合は、契約条件・課金対象の範囲を別途確認するのが安全です。

■5. 数字として示された改善(事実)と、読み取れる範囲(注意点)
ERPCは、全ラインナップ対象のパフォーマンスブーストで、P99レイテンシが150〜200ms改善されたと報告しています。
(編集部補足)P99は「遅い側の揺れ」を見る指標で、体感に近いケースもあります。一方で、この種の数値は測定条件で大きく変わります。今回の発表からは、測定区間(どこからどこまでの遅延か)、比較対象(ベースライン)、期間、トラフィック特性、リージョン別の違いなどが読み取れないため、同等の改善が常に得られるとまでは断定できません。数値は“発表主体が観測した結果”として受け止め、条件の確認や自社環境での検証が前提になります。
■6. 「冗長化をどこに置くか」という設計の違い(事実+編集部補足)
発表では、ERPCの「スピード最優先」のプロダクト設計として、サーバー側のリソースを100%パフォーマンスに集中させ、データの安全性はサーバー外部で担保する設計だと述べています。また、外部でのバックアップとして、SLV BackupとERPC Global Storageの組み合わせによりE2E暗号化されたバックアップをサーバー外で提供する、としています(発表本文はこの説明が続く体裁です)。

(編集部補足)冗長化を薄くするか、外部設計に寄せるかは、速度・運用・復旧の優先順位の置き方に関わります。今回の発表だけでは、バックアップの技術仕様、手順、料金、障害時の復旧範囲などは判断できないため、「どこまでをサービス側が担い、どこからを利用側が設計するのか」を別資料で確認する必要があります。
■7. 今回の発表で分かること/分からないこと(編集部整理)
分かること:
・ERPCが、フランクフルト/アムステルダム/ニューヨークでハイパフォーマンスVPSを再入荷したと発表したこと。
・一般的なVPSがSolanaで遅くなり得る理由として、(1)パフォーマンス制限、(2)ネットワーク距離、(3)汎用前提の冗長化、の3点を挙げていること。
・対策として、OS/CPU/ネットワークスタックのチューニング、内部ネットワークでの近接通信、内部通信の追加課金なし、という説明があること。
・P99レイテンシが150〜200ms改善したという“観測報告”があること。
分からないこと(発表からは判断できない点):
・発表日、各リージョンの在庫数量、具体的スペック、価格、SLAやサポート、P99改善の測定条件、データセンター名、バックアップ手段の詳細、最適化がSolana以外の用途に与える影響など。
「どの地域に置いたか」だけではなく、CPUやOS設定、ネットワーク経路、冗長化の置き方まで含めてレイテンシは決まります。ERPCの今回の発表は、VPSの再入荷という供給情報に加えて、Solana用途で“どこを遅延要因と見て、何を調整対象にするのか”を発表主体の言葉で列挙した点が特徴です。導入判断にあたっては、発表で示された範囲(内部ネットワーク、P99改善の報告)と、未提示の条件(料金・SLA・測定条件・復旧設計)を切り分けて確認すると、誤解が起きにくくなります。
出典
- 原題:ERPC、人気のハイパフォーマンス VPS がフランクフルト・アムステルダム・ニューヨークに再入荷 — なぜ ERPC の VPS は Solana で速いのか | ELSOUL LABO B.V.のプレスリリース
- URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000417.000105962.html